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熊野古道物語 第一章

京都二条高倉の大納言兼家夫婦には子供がありませんでした。
そこで夫妻は毘沙門天に子授け祈願を行い、まもなく男の子を授かることができました。
名前は「有若」、後の小栗判官です。
小栗は文武に秀でており、周囲に評判の青年へと成長していきました。
しかし、小栗は父の勧める縁談を全て断ってしまいます。
なんと、21歳になるまでに実に72人の妻候補者を帰してしまったそうです。

(かなり理想が高かったのかしら・・・? あすか)

鞍馬参詣の途中、みぞらが池の大蛇に見初められ、なんと恋仲になってしまいます!
それを知った父兼家は

「我が子とはいえ、心が不浄になった者を都においてはおけない。」

と、常陸国玉造に小栗を流しました。
小栗は常陸に移り住んでも大剛ぶりは変わらず、多くの武士たちを従えておりました。
ある日玉造の御所に、後藤左衛門という三状体の行商人が現れて、商いの最中に相模の郡代横山のひとり娘で日光山の申し子「照手姫」の美しさを噂して回りました。
小栗はそれを聞いて、会ったこともない照手姫に恋焦がれました。
そして後藤左衛門に仲介を依頼して恋文を書いたのです。

照手姫は、父横山や兄たちに厳しく監視されて育ったこともあり後藤左衛門から手渡された恋文を見てひどく驚いて破り捨ててしまいました。
それを見た後藤左衛門は、照手姫を責め、返事を書くよう勧めました。

照手姫からの返事を受け取った小栗は、十人の臣人を従えて横山の館を訪れました。
そしてそのまま小栗と照手姫は恋仲となりました。

怒ったのは父横山でした。
七十騎の軍勢を向けて小栗を殺そうとしたのです。
そこは嫡子家継に止められ、事なきを得ましたが怒りが静まるはずもありません。
今度は希代の荒馬、近づく人までも食らうと恐れられる「鬼鹿毛(おにかげ)」を小栗に送り込みました。


◆ 目次 ◆
第一章
第二章
第三章
第四章
最終話
ところがところが、

「これはなんと良い馬じゃ!」

小栗はこれをなんなく乗りこなし、難しい馬術までやってみせたのです。

あまりに見事な手綱さばきであったため、横山一門は驚きを隠せませんでした。
それでもその怒りは覚めやらず、ついには殺意までも抱かせることとなりその次の手段として蓬山の宴に小栗を招き、毒殺の計画を練ったのです!!
さあさあ、小栗はどうなってしまうのでしょうか?
そして照手姫との恋の行方やいかに・・・。
次回をお楽しみに!
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